わきがの悩みは万葉の昔から
わらわども草はな刈りそ八穂蓼を穂積の朝臣が腋草を刈れ
~平群朝臣 万葉集巻第十六~
「わきが」とは「腋草(わきくさ)」がなまったものらしく、わきの下の毛を草にたとえていった言葉。腋草は腋臭にかけて使われ、また「狐臭」「胡臭」とも書かれた。胡は中国北方、あるいは西方の異民族の総称だから、文明の及ばない人々の体臭の強いのを言うような表現でもある。
この万葉集におさめられた歌は、穂積朝臣のわきの下が臭いので、野の草を刈るより、いっそ彼のわきの下の毛を刈ってやれ、と子供たちをけしかけてやろう、という意味の歌である。当時の朝臣といえば、今で言う永田町の政治家先生や高級官僚といった身分のお方だが、こんな方でも「わきがが臭い!臭い!」と言われてしまう情けない話が、1200年以上もの長い時間を隔て後世に伝わってしまうなどということは、当の穂積朝臣にも思いもつかぬことであろう。
参考資料 「汗の常識・非常識」 小川徳雄(講談社ブルーバックス)
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